長野県の特別養護老人ホームで2013年、ドーナツを食べた直後に気を失い、その後死亡した利用者の女性への注意義務を怠ったとして、その場にいた准看護士に業務上過失致死罪が問われた裁判。結果は有罪判決として、罰金刑20万円となりました。当人にしてみれば、罰金の額ではなく、前科がつくという点で社会的に大きな痛手となります。
この事件を追跡してきたわけではないので、判決の是非については控えたいと思います。事故が起こった後の被告の対応、態度などに問題があったのかもしれませんし、被害者遺族のコメントもないので。
ただ、この判決によって、介護に携わる人は確実に減るだろうと予測されます。私ももし子供が介護の仕事をしたい、と言っても、この事件を例に挙げて止めるのではないかなと。それだけ過失が事件として問われる業務に携わることに、普通の人なら拒絶反応はあると思います。今回の事件でも実名で被告として報道されているわけなので。
現状でも介護に携わる人材が全く足りない状態です。当社でも介護の募集をさせてもらう時は、来ない可能性が高いことを伝えてから募集をさせてもらうことはしています。他業種ならまだ工夫をすることによって応募を増やすことができますが、介護の場合は様々な工夫が水泡に帰すことも多く、無力感に打ちのめされることがあります。
介護は2025年には38万人の介護人材が足りなくなるといわれています。それが現実となった時どうなるのか?
家族が要介護となり、介護サービスを受ける道しかなくなっても、サービスを受けることができない。
それは介護難民となっての孤独死。介護離職による親子共倒れ、という人間の生死にかかわる問題となります。